2016年の年の瀬に、この年を振り返ろうと少し他のことを考えずにじっくりと思い返してみると、どうしても2016年の主役はNuAns NEOであったと感じています。トリニティ株式会社としては10周年を迎え、新たな取り組みの一環ということでもありましたが、我々が「デジタルライフを豊かにする」というキャッチフレーズを会社の基本として考えている中で、スマートフォンというこれ以上ないほどど真ん中のプロダクトを生み出せたこと、これは10年の集大成であるともいえる大きなプロジェクトでした。

Appleが好きで、iPhoneが好きで、ずっと使ってきて、それに見合うデザインの良い、使い勝手の良い、アクセサリーを作り続けてきた歴史を踏まえて、それでももっと違うものがあっても良いんじゃないか、iPhoneだけが正解じゃないと思って取り組んだNuAns NEOは、中国で出来合いのスマートフォンを買ってきてブランドを付けるというだけではなく、1からすべてを作り上げたという意味では、我々の規模では他社にはできなかったであろうと思いますし、ここに踏み込めたのはこれまでの積み重ねがあったからだと思っています。

私にとっての2016年のヒーローはNuAns NEOであったといえます。

NuAns NEOは私が、そして一緒に作り上げてくれたTENT、本田雅一氏、永山純一氏、そしてプロジェクトマネージャーのあさすけが、こんなスマートフォンがあったらいいな、を形にしました。それは誰かにどういうのが良いと思う？　というようなことは一切しないで「思い込み」で生み出した、まさに「プロダクトアウト」型の製品です。それは、ともすれば自己満足に陥っていると批判される危険もあるアプローチです。しかし、発表時には多くの方の注目を集め、発売後もデザインについての評価は非常に高く、日本のデザイン賞の中では一番有名なグッドデザイン賞においては「ベスト100」という「特に優れたデザイン」と評価していただき、また我々のような中小企業が作り上げた優れたデザインのプロダクトとして「グッドデザイン特別賞[ものづくり]」もいただきました。

デザイン賞を受賞したからといって、その製品が本当に優れた製品か、デザインが優れているからといって良いプロダクトなのかという議論はあると思います。ただ、我々が思い描いた優れたデザインのスマートフォンはiPhoneだけじゃない、違う方向性のものもあっても良い、という思想は少なからず評価されたと言って良いと思います。もちろん、これが完璧で最高であるとまでは言えないと思っていますが、それでも2016年、私にとってはNuAns NEOに始まり、NuAns NEOに終わった1年だったと言っても良いと思っています。

来たる2017年、また新たなチャレンジを行なっていきたいと思っています。これはこれまでの延長線上のこともありつつ、新しい取り組みもあります。すでに予定されているものもありますし、これから作り上げていくものもあります。

毎年、この時期に書くのは「振り返れば走り続けてきた1年で、これからはチャレンジの年だ」ということでしたが、これは2016年の振り返りでも、2017年の抱負としても同じようです。立ち止まっては生きていけないし、立ち止まってはいたくないのです。まだまだデジタルライフは発展途上であり、満ち足りている状態ではないので、そこに我々としての提案をし続けていきたいと思っています。

まもなく2016年が終わろうとしていますが、当社製品を使っていただいているユーザーのみなさま、製品を作り上げるのに関わっていただいたみなさま、我々の製品を販売してくれた販売チャネルや販売店のみなさま、そして全力で取り組んでくれた誇るべき当社スタッフの面々に感謝の気持ちを込めて、そして2017年も楽しみにしていてください。すべてのみなさまへ、よいお年をお迎えください。

最後に、もしもお時間があればグッドデザイン賞ベスト100のプレゼンテーション動画をご覧ください。5分でと言われているのに「多少」オーバーしてしまっていますが、NuAns NEOの魅力をググッと短く「早口で」まとめたプレゼンテーションです。